唐丹の天然スレート葺き
by Chiba
わが家の屋根は平たい石で葺かれていて、子どもの頃は「周りの家と違うなぁ」と思っていた。
何かの拍子に割れて落ちてきた石は軒下に片付けられ、これが近所の友達と石けりをして遊ぶときに活躍した。
私たちの石けりのルールでは、50センチ四方くらいのマス5個を2列描き、マスに順に石をすいっと投げ入れてから、石のあるマスを飛ばしてケンケンでマスを回る。スタート地点に戻ると、2段目のマスに石を投げる。
マスに石が入らないと、ケンケンに入れず、1回休みになる。3段目くらいはなんなくマスに入れられるが、4段目あたりからは、少々技術がいる。平たい石は転がらないので加減しやすく、重宝したのである。
唐丹のナマハゲ、「ヒガタタクリ」
by Chiba
「お父さん、吉浜にはナマハゲがあるんだって。唐丹にはないのに」
「なに、あったのさ」
2018年11月に大船渡市三陸町吉浜に伝わる「スネカ」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを知らせるテレビニュースを見ていたときのこと。三陸町は、唐丹の南隣りの町である。
「ヒガタタクリだ」
「ヒガタ……?」
「ヒガタって、ホラ、こたつに入ってると出っぺさ」
寒いからと、火のそばで動かずにいると、足に浮き出てくる赤い斑紋がヒガタだ。
民話・唐丹物語~孫太郎と山賊
by Chiba
大石で生まれ育った母から、こたつでよく聞いていた話です。
昔、大石にはたいそう金持ちの家がありました。わかたといって、気仙(けせん)で一番、税金を納めていたそうです。
その頃、税金は盛(さかり)の役所に納めることになっていました。わかたでは、しっかり者の使用人、孫太郎に届けさせることにしました。
孫太郎が盛をめざし山道を歩いていると、一人の山賊が現れました。山賊は、孫太郎がわかたのお金を持っていることを知っていたのです。孫太郎に切りかかり、かわいそうに孫太郎は死んでしまいました。
唐丹ワカメの特徴
by Chiba
唐丹にいたときは当たり前だと思っていたことで、「実は、……」というのがいくつかある。唐丹ワカメもその一つ。
ワカメは、日本沿岸のどこでも採れ、珍しくもないので、みんな同じだと思っていた。
それが、違った。
唐丹ワカメには次のような特徴がある。
唐丹の海、縄文の海
by Chiba
ずっと不思議に思っていたことがある。唐丹湾はなぜきれいなのか、ということだ。
生まれ育った町故のひいき目はむろんあるだろうが、通り過ぎただけの人からも「きれいな町ですね」とよく言われる。
リアス式海岸は宮城県北部からずっと続いており、いくつもの島影が映る海浜やダイナミックな奇岩が連なる名所も多い。唐丹湾には観光パンフレットに載せたくなるような撮影スポットは見当たらない。にもかかわらず、きれいな場所として心に残る。
花は咲く
by Chiba
テレビから流れる「花は咲く」を聴いていて、「あれっ」と思った。
わたしは何を残すだろう
「残す?」
現在形だ。亡くなった方が語っているのであれば、動詞は過去形になるのが自然だろう。
でも、これはこれでよいと思った。
亡くなっても、心が受け継がれたなら、きっと何かできる。
生きている側が、亡くなった方の思いを形にしていくなら、何かを残せるだろう。